行動指針:社会課題を解決する

前例のない挑戦。初の株式会社による法人後見制度の事業化

HITOWAソーシャルワークス
法人後見人制度 立上げプロジェクト責任者

約80万人が、
成年後見人を必要としている

「正直、難易度は高いと思いました。でも、誰かがやらなきゃいけないと思って」

HITOWAソーシャルワークスにて、障がい者雇用にまつわるさまざまな課題解決に取り組んできた彼女が新たに着手したのが、法人後見制度の事業化だった。

法人後見制度の前に、成年後見制度について解説しておきたい。成年後見制度とは、障がいや認知症があって意思決定が困難な人たちの身上や財産を、家族の他に、弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職が成年後見人となり、法的に守るための制度。

法人後見制度とは、社会福祉法人や社団法人、非営利団体(NPO)といった法人が成年後見人として同様の役割を遂行するものだ。そして、彼女は日々の業務を通じて、成年後見制度に大きな課題があることを目の当たりにしていた。

「この国には、成年後見人を必要としている方が100万人以上いると言われている。でも、制度を利用できているのは、20万人程度。残りの80万人の人生はどうなってしまうんだろう」彼女は立ち上がった。自社で法人後見制度を事業化すれば、これまで利用できていなかった人たちの身上、そして財産を守れるようになる可能性は広がる。本人のニーズと支援のミスマッチを解消し、社会全体の課題を解決できると考えたのだった。

7,000名以上
仲間という最強の組織

10年前、彼女はHITOWAに入社してから、ずっとこの事業を考えてきたのには理由がある。

「一つはこのグループは人財の宝庫だということです。グループ全体で見れば、介護福祉士は2,000人ぐらいいるし、ケアマネージャーも社会福祉士も、保育士も、管理栄養士も、住環境コーディネーターも、作業療法士も・・・ HITOWAは一つ社会であり、その中で地域福祉が構成され協働できるのではないか。このグループシナジーを活かせば、弁護士などの後見人にはない複数の専門職の視点、チームケアとしての高い価値が出せるはず。」

「そしてもう一つは人々の暮らしに寄り添う事業が根幹であることです。老人ホーム入居者の家庭に、園児を送迎する家族に、お掃除する暮らしの中に、内在する困りごとをグループの社員はきっと気づいているはず。ニーズ喚起し、支える機能があれば『新たなる価値』を創造することができるかもしれない。」

そして、2019年1月31日の社内ビジネスコンテスト『HITプログラム』に参加。「法人後見制度の事業化」というアイデアを、経営陣や社員たちの前で熱意を込めてプレゼンテーションした。結果は、何とグランプリ受賞。湧き上がる拍手と歓声。胸をこみ上げる想いを抑えるようにつぶやいた。「これで、ようやくスタートラインだ……」

前例がないという
果てしなく高い司法の壁

「グランプリに選定してくれた人たちの気持ちを背負って立ち上がることを決めました」

不安はあった。プレッシャーもあった。「でも、やるしかない」という気持ちが奮い立たせた。そして、情報収集のために司法機関や行政機関、医療機関などの専門家のもとへと足を運び、猛然と意見交換やプレゼンテーションに臨んだ。しかし、彼女を待っていたのは、想定外の反応だった。

「え? 株式会社が法人後見?聞いたことないし、ありえない」
「金融機関ですら選任却下されたからやめといたほうがいいよ(笑)」
「あなたは後見人の資格あるなら独立型社会福祉士事務所を開業すればいいじゃない」
とどめは、成年後見人を選任する裁判所の、ある事務次官の一言だった。「法的には禁じていませんが前例がありませんので、正直難しいと思います」ある程度いばらの道になることは想定していたが、現実はそれ以上だった。

なぜこれほどまでに株式会社への風当たりが強いのか。一般的に、株式会社は倒産のリスクもあるし、トップの交代によって経営方針が変わることもある。さらに、後見報酬としての収入は大きくないないため「せっかく選任しても途中で頓挫し、被後見人に大きな被害が出てしまうのではないか」というのが理由らしい。

「ごもっともだと思いました。裁判所が前例を大事にするには、ちゃんとした理由があり、それを変えにくい風土ですよね」しかし、歩みを止めるわけにはいかなかった。理由は、すでに福祉的な介入やサポートをした家庭や障がい者の支援機関から、成年後見人についての相談が寄せられていたからだ。相談者の「絶対にHITOWAさんにお願いしたい」という言葉に応えたい気持ちとは裏腹に、自分たちが成年後見人として選任されるための方法がわからないことで焦りは募るばかり。日に日に追い込まれていった。

そんな五里霧中の時、彼女のもとには「自分も成年後見制度の事業化に力を貸したい」というメンバーが続々と集まった。自分が置かれた環境に感謝しながら、今度は仲間たちと再び裁判所へのプレゼンテーションの準備をする。同じ志を持った仲間たちと意見を出し合い、専門職としてのプロ意識と諦めない勇気が湧いきた。

「長い間働いてきましたが、私はHITOWAグループが大好きなんです。“人生に寄り添う"ってことは綺麗事じゃなくて、人の人生に素手で触れるようなとても重いものです。でも、その経験や実績によって裏づけされた基盤があるから、保育や介護などの事業も成功している。だから、成年後見も絶対できるはず。そして、成し遂げた際には“HITOWAグループって本当にすごいね”と思われたい。“最強のチームなんです” と誇りを持って紹介したいです」

仲間たちの存在、そしてHITOWAグループへの愛が、折れかけていた心を立て直す。そうして準備を重ね、ついに裁判所から判決結果が届いた。

「HITOWAソーシャルワークスに選任する」全てが報われた瞬間だった。

日本の社会全体が抱える課題を解決したい

「正直なところ、すごく驚きました(笑)。資料を集めたり、裁判所でプレゼンしたりしても、私たちの主張が判決の裏付けになることはない。裁判所が任意で決めるものなので」笑顔で当時を振り返る。

「でも、私たちを頼ってくれた方の想いに応えられたのは、本当に嬉しかった。もし選任されなかったら、他の弁護士や司法書士が担当することになるわけです。私たちを信頼してくれていた方の気持ちを裏切ることになってしまうので。賭けではあったけれど、思い切ってやってみてよかった。付き合ってくれた全員に感謝ですね」

こうして、ようやく船出を迎えることができた法人後見事業。実績ができたことで、その後も東京都の某区長申立ての際、後見候補者として指名され、裁判所からの選任も迅速になった。2020年の事業開始以来、合計5件選任されている(2021年6月時点)。 チームメンバーを社内公募すると、グループ内からも「やってみたい」という声が多く集まり、有志のチームも生まれた。少しずつ、本当に少しずつだが、軌道に乗り始めているように見える。

申立てをした区の担当部署に当社の実務実績を報告すると『他の成年後見人と比べてすごくハイレベルなことを実現している、特に身上監護においてここまでのことをするところはない』『さすがHITOWAグループ』といった反応がもらえて、信頼を積み重ねられていることが嬉しいです」と顔をほころばせる彼女。最後に今後の目標について聞くと、表情が変わった。

「成年後見事業は決して大きな利益を生むものではない。でも、社会への貢献度はものすごく大きい。それに、こうやって司法や行政と連携をとりながら関わっていくことは、HITOWAグループ全体としても絶対にメリットがあるはず。今後は成年後見事業を通してこの制度のあるべき姿を追求し、運営ノウハウを社会に共有したり、課題を提議したりして、新たなソーシャルアクションを起こしていきたいですね。 人が人を支えるという技術、事業はHITOWAの真骨頂。その根底には権利擁護をとことん考える組織があると社会に認知されリーダーカンパニーになっていきたい。課題をひとつずつ解決していくプロセスと実績もまた我々グループの財産になっていくと思います。」

誰もが楽しく幸せに生きる権利がある。しかし、見落とされる社会の狭間で享受できていない人たちがいるのも事実だ。最近は弁護士や司法書士、社会福祉士が福祉関係機関と連携し、行政を動かして成年後見事業推進のチームを作り始めている地域も増えてきた。HITOWAの成年後見は社会のニーズを早くから捉え、一つのモデルケースを作った事業だといえよう。

HITOWAの未来のため、そして社会全体が抱える課題を解決するために、彼女は今日も突き進んでいく。

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