行動指針:本質を見極め素早く行動する
HITOWAケアサービス
有料老人ホーム イリーゼ 介護主任
“あの日”の後悔から
介護の仕事を志す。
数年前に祖母を看取った。
当時、幼稚園教諭をしていた彼女は何もしてあげられなかったことを今でも悔いている。様々なことをテキパキとこなす介護福祉士の姪に頼りっぱなしで、自分がひどく無力に感じた。「介護についても勉強したい」そんな思いで自身の出産後、幼稚園教諭を辞めて介護ヘルパー2級の資格を取ろうと決断。これが介護の仕事に就いたきっかけだった。
その後は在宅介護と有料老人ホームでダブルワークをしながら勉強をしたり、介護老人保健施設で10年間働いたり、ガムシャラに経験を積んできた。徐々に介護のことが分かってくると「流れ作業のような介護は違う」と思うように。
「時間に追われる介護ではなく、もっと一人ひとりに寄り添った介護がしたい。それぞれの“らしい”生活を送れるサポートがしたい」という気持ちで、イリーゼに入職。介護主任として、「イリーゼさぎぬま・新館」の立ち上げに携わることとなった。
介護職員としてより良い
サービスを追求する日々。
入社後は介護主任として働きながら、足りない人手を補うために現場も担当。
その一方で、「基本を崩さない」、「いつ来ても変わらない施設でありたい」という方針を掲げ、古くからいる職員も、新しい職員も、派遣で来てくれているスタッフも、一丸となって施設づくりに取り組んできた。
一方で、より良い介護サービスを提供するために、以前の施設で良いと思ったことは積極的に採用。例えば、申し送りノートを作って職員たちでこまめに情報共有をしたり。
「廊下を歩いてリハビリをしている入居者様がいるから、『この地点で〇m』という貼り紙をしてみたら?」というアドバイスを採用してみたり。知り合いのおむつメーカーの方に来てもらい、おむつの付け方講座を開いてみたり。
さらに、認知症の入居者様も多いため「忙しいときこそゆっくりした動きをするように」など、自分の経験から得た学びもスタッフたちに展開。忙しい毎日だけれど、さまざまな工夫をして実際手応えも感じていた。
地域社会からの
信頼を得るために。
もちろん、全てが順風満帆だったわけではない。
「イリーゼさぎぬま・新館」立ち上げの際、地域住民の方の中には反対する方もいらっしゃったのだ。何度も話し合いを重ねるも、周りとお付き合いがあまりない状態でオープンすることになった。割り切るのは簡単だ。
地域と交流しなくても介護はできる。だが、施設にとって本当にそれでいいのだろうか。「違う。介護施設は地域に根付いたものであるべきだ」という答えを出した彼女は、少しずつでも信頼を得られるよう、小さなことからコツコツ行動していこうと思った。
植木の葉っぱがお隣のマンションの敷地内に伸びてしまった時はすぐに対応する。朝、マンションのエントランスを掃除している方には欠かさず挨拶する。
当たり前のことを当たり前に、誠意を持って行なってきた結果、少しずつ近隣の方々と言葉を交わすことも増えてきた。そして今では、お隣のマンションに住んでいらっしゃった女性が入居してくださっている。
この施設を認めてもらえたと
感じた入居者様からの言葉。
スタートは「祖母に何もしてあげられなかった」という後悔からだった。
でも今は、入居者様たちが最期まで「生きていてよかった」って思えるようにしたいという目標を持っている。先日、とある入居者様から「ここで看取ってね」という言葉をいただいた。切ない気持ちも感じたけれど、家族の代わりにサポートをしてあげられるのはとても嬉しい。それに、イチから作ってきたこの施設を認めてもらえたような気持ちになった。
この先も「イリーゼさぎぬま・新館」が持つ“介護の力”を強くしていくことで、日本が直面している介護業界の課題解決に少しは貢献することができるかもしれない。
人間相手のこの仕事は毎日が勉強で、毎日違う。大変なこともあるけれど、今日も彼女は入居者様たち一人ひとりと向き合っていく。
亡くなった祖母にしてあげられなかった分まで。
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