コロナ禍で転職市場はどう変わった?影響を受けていない業界や今後伸びる業界

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コロナ禍で転職市場はどう変わった?影響を受けていない業界や今後伸びる業界

コロナ禍の転職市場は全体的に買い手市場ですが、業種によっては人手不足です。今後伸びる職業を見極めて転職先を決めることが重要になります。先行きが不透明ななか、求められるのは即戦力ですから資格・スキルを取得することで転職を有利に運べるでしょう。

長引く新型コロナウイルスの影響により、業界によっては未曽有の経済低迷が続いています 。会社の将来や自身のキャリアに不安を感じている方も多いでしょう。

本稿では「"今"転職すべきか迷っている」「転職市場を知りたい」といった方のために、転職市場の動向や業界の展望などを踏まえ、今後伸びる職業や転職すべき時期を解説します。コロナ禍で転職に失敗しないためのコツも紹介していますので参考にしてみてください。

コロナ禍の転職市場動向を解説

新型コロナウィルスによって転職市場はどのような影響を受けたのでしょうか。まずはコロナ禍の転職市場動向を解説していきます。

全体的には買い手市場傾向

現在の転職市場は全体的には労働者不利、つまり買い手市場傾向にあるといえます。

過去40年間の日本全国有効求人倍率推移グラフ 過去40年間の日本全国有効求人倍率推移グラフ
  • (出典:過去40年間の日本全国有効求人倍率推移グラフ|総務省 統計局)

総務省統計局のデータによると、2020年の有効求人倍率は1.18と、5年前に比べて0.43減少しています。2008年のリーマンショックほどの世界金融危機までの低迷はないものの、実際に求人倍率が業界全体的に低迷しており、新型コロナウイルスの経済社会への影響は今後も続くことが予想されます。

雇用数が減少した産業別雇用数推移グラフ 雇用数が減少した産業別雇用数推移グラフ
  • (出典:雇用数が減少した産業別雇用数推移グラフ|総務省 統計局)

総務省統計局の「雇用数が減少した産業別雇用数推移グラフ」によると、なかでも外出自粛・移動制限の影響をダイレクトに受ける飲食業や衣服を取り扱う小売業、宿泊業の減少率は顕著です。いずれも新型コロナウイルスが経済社会に大きな影響を与えていることがうかがえます。

2019年から2020年に雇用数が減少した産業ランキング

  1. 飲食店(約18万人減少)
  2. 製造業(約13万人減少)
  3. 建設業(約7万人減少)
  4. 宿泊(約6万人減少)
  5. 衣服小売り(約5万人減少)
  6. 道路旅客運送(約3万人減少)
  7. 洗濯・理美容・浴場(3約万人減少)
  8. 娯楽(約3万人減少)
  9. 道路貨物運送(約3万人減少)

売り手市場の業界もある

一方、売り手市場の業界もあります。先行きが不透明ではあるものの、2021年採用予定は増加傾向です。中途採用実態調査によると、以下の結果となり、業界によっては人手不足感が続いていることがうかがえます。

雇用数が増加した産業別雇用数推移グラフ 雇用数が増加した産業別雇用数推移グラフ
  • (出典:雇用数が増加した産業別雇用数推移グラフ|総務省 統計局)

総務省統計局の「雇用数が増加した産業別雇用数推移グラフ」によると、介護・福祉関連の雇用数は約9万人増加しており最も増加傾向にあります。また、コロナ禍での医療逼迫により医療関連の雇用数の増加も顕著です。不動産業界も、新型コロナウイルスの影響で増えた在宅勤務により不動産が動いているためか、需要が増えています。他、雇用数に対する伸び率でいうと情報・通信関連もリモートワークのシステム構築や、新たなサービス開発事業による影響のためか、雇用数が増加しています。

2019年から2020年に雇用数が増加した産業ランキング

  1. 社会保険・社会福祉・介護(約9万人増加)
  2. 医療(約8万人増加)
  3. 不動産(8万人増加)
  4. 教育(6万人増加)
  5. 国家・地方公務(5万人増加)
  6. 情報・通信(5万人増加)

コロナ禍で需要が増した職種、専門職系

コロナ禍で需要が増した職種、専門職系は求人倍率が軒並み高い傾向です。求人倍率が高い仕事には次のようなものがあります。

社会保険・福祉・介護

主に、介護士、保健師、助産師、看護師、准看護師、保育士、理学療法士等の職種を指します。少子高齢化社会の今、介護士の需要は特に高くなっています。また、女性の社会進出に伴い保育士の雇用も積極的です。

医療系

コロナ禍で最も人材不足が深刻な業界が医療関連です。日本は外国に比べ新型コロナウイルス感染者数は少ないにもかかわらず医療が窮迫していますが、その理由のひとつが医療従事者の少なさにあるといわれています。

不動産系

コロナ禍のリモートワークの増加により、都市郊外や地方への移住の拡大、在宅勤務で大きな部屋へ移り住みたいなどの需要もあってか、雇用数が増加しています。販売営業、売買仲介、賃貸仲介、法人営業などの営業職、企画・開発、ビル管理・マンション管理などさまざまな職種があります。

情報・通信系

オンラインゲーム、テレワークに必要なシステム・ウェブカメラなど「巣ごもり需要」の恩恵を受けていると考えられます。主に、ITエンジニアやWebデザイナー、 Webマーケターの需要が増加傾向にあり、技術職や専門職の求人倍率は非常に高いです。先行きが不透明な中で企業が求めるのは「即戦力」であることが背景として考えられます。

コロナ禍での転職では、転職回数や年齢がどの程度影響する?

転職を検討しているものの、転職経験回数や年齢が理由で踏み出せずにいる方もいるかもしれません。実際のところ、コロナ禍での転職は、転職回数や年齢はどの程度影響するのでしょうか。

転職回数や年齢より「スキル」が重要

内閣府が平成30年1月に発表した「成長力強化に向けた課題と展望」の「第2章多様化する職業キャリアの現状と課題(第1節)」(※1)によれば、正社員男性の過半数は、転職回数1回以下となっています。男性は2回以上転職経験があると不利になる可能性があるようにも思われますが、今は長寿化により労働期間そのものが長期化し働き方も多様化しているため、転職回数の多さが不利に働くとは言えないかもしれません。

女性は出産などがきっかけで退職や転職するケースが多く、50代で離職経験がない女性はわずか7%です。近年では女性の社会進出も拡大しているため、転職回数よりもブランクの期間がポイントとなるでしょう。

現代では転職はむしろスタンダードになりつつあり、回数よりも転職理由やスキルが大切です。たとえば転職回数は少なくても「風土が合わなかった」「残業が多かった」など抽象的、ネガティブな理由ばかりだと「単なる現実逃避ではないのか」「採用してもすぐに辞めるのでは」と思われる可能性が高いです。採用を勝ち取るのは難しいかもしれません。

反対に何度転職を経験していても、「自分の〇〇というスキルを活かすため」「前職ではかなわなかった〇〇にチャレンジするため」など具体的かつポジティブな理由が多ければ「意欲的な人材」とむしろプラスの印象を与えることもあります。

転職は明確な目的を伴ったものか、これまでどんな業務を経験してきて、そのなかで何を得たのか、どのようなスキルがあり、自社にどのように貢献してくれるのか、企業が見ているのはそうした点です。つまり転職を重ねるごとにスキルアップしていれば、転職回数が多くても「有益な人材」と判断される可能性があります。

転職平均年齢は30歳前後が多い

総務省が令和3年2月16日に発出した「労働力調査(詳細集計)」(※2)によると、2020年に転職した人の平均年齢は30歳前後が多く、総数319人に対し25~34歳が73人で最多、次いで35歳~44歳が60人です。

とりわけ専門職系や建築系、医療・化学系、電気・機械系、IT・通信系の技術職など経験やスキルがものをいう仕事は転職平均年齢も高い傾向にあります。また、女性の転職年齢も徐々に上がってきています。

有能な人材は年代・転職回数にかかわらず引き手があるといえるでしょう。

今後おすすめの職業は?アフターコロナで求められる人材

今後就くべき職業を検討するにあたっては、新型コロナウイルスの影響だけでなく、AI技術やロボットの台頭も考慮しなければなりません。今後おすすめなのはどんな職業なのでしょうか。アフターコロナで求められる人材についても紹介します。

変わらず需要のある職種と需要が高まる業界

医師・看護師や介護士、保育士の需要は伸びる可能性が高いでしょう。コロナ禍での医療窮迫問題や高齢化、共働き世帯の増加による待機児童問題の影響などで人材不足が深刻化することが予想されるためです。機械(AI)よりも人間が優る「複雑な判断、知性・理解力・感情」を必要とする点においても需要のある仕事と言えます。

また、IT業界はコロナ禍で需要が高まり募集の多い職種もあります。ITはあらゆる産業に関わっているため、新型コロナウイルス収束後も伸びていくことが見込まれます。

専門職系も求人倍率が軒並み高くなっているのが現状です。

一方で、事務職、製造業、経理、清掃など自動化が可能で正確性において機械(AI)が優るような仕事は、これにとってかわられる時代がくるでしょう。しかしながら現段階では採用募集もあり、需要はあります。

資格取得で転職を有利に

企業が転職者に求める大きなポイントの1つは即戦力です。仮に新型コロナウイルスの感染が収まっても、今後いつ何が起こるかわかりません。今や終身雇用も崩壊し、いかなる職種・業界に就いていても安泰とはいえないのが現実です。

そんななかではスキルを身につける、資格をとるなど手に職をつけておくことは有効といえます。コロナ禍で「資格取得」という主体的行動を起こすことは、後々の採用活動においても評価ポイントとなります。

昨今は働きながら資格を取得できる会社もあります。

HITOWAグループではコロナ禍で需要が増加した介護や保育の事業を展開しており、積極的な採用活動を継続して行っています。介護事業のHITOWAケアサービス「イリーゼ」では、無資格の方の入社および資格取得も支援しています。

「イリーゼ」研修制度・資格支援 https://career.hitowa.com/kaigo/about/training 別ウィンドウで開きます

まとめ:市場を見極めて転職活動に挑もう!スキルや資格が有利に

現在転職を余儀なくされている方は、今後伸びる企業や今後もなくならない業界への転職がおすすめです。また、現在の仕事から転職をしてスキルアップを目指したいと思っている人も、これから成長する企業や業界を見極めて、しっかり納得のいく職に就きましょう。

スキルや資格を取得することで転職が有利にもなりますので、キャリアプランにあう資格を取得することもおすすめです。

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