簡単!革製品お手入れ方法|汚れ・カビ・シミのケアもプロが解説

家族とくらし

人それぞれの思い出が詰まった革製品。「大事なものだからこそ、お手入れをして長く使いたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。そこで、日々のお手入れに必要なアイテムの使い方、革製品についた汚れ・カビの簡単な落とし方などについて、職人歴20年のプロが丁寧に解説します。

日頃の革製品のお手入れに必要なアイテム

① 馬毛ブラシ

馬毛ブラシは、革製品に付着したホコリやゴミを掃いて落とすために利用します。馬毛は他の毛に比べて適度な弾力があるのが特徴で、革製品と毛が触れる面積が広く、効率よく汚れを落とせます。

② クリーナー(液体/クリーム)

クリーナーは、革製品の汚れを落とすための洗剤のような役割を果たすものです。クリーナーには、液体またはクリームと2種類のタイプがあり、革の鞣(なめ) し方法によって使い分ける必要があります。タンニン鞣しをされた革は、液体によるシミができやすいため、液体タイプのクリーナーの使用はお控えください。

③ ウェス

ウェスは、クリーナーやクリームを革に塗り込むために使う薄手の布です。使い古したTシャツを使用しても良いです。クリーナー、クリームを塗布する際や乾拭きで使うので、数枚準備しましょう。

④ 綿棒

ウェスでは落としきれない細かな部分の汚れは、綿棒を使って落とします。使用する綿棒は、一般的にご家庭で使われているもので構いません。数本用意し、常に清潔なものを使用できるようにしておきます。

⑤ 専用のクリーム、または靴クリーム(ニュートラル)

クリームは、艶出し・油分補給・保護の目的で使用します。クリームに配合されているシアバターが革を保湿し、ワックスが艶を出します。アイテム別の専用のクリームがない場合は、ニュートラルの靴クリームでも代用可能です。その他の靴用の色付きクリームは、触れるものに色がついてしまう可能性があるので使用はお控えください。

⑥ ウェス(仕上げ用)・ポリッシュコットン

仕上げにはウェスもしくはポリッシュコットンを使用します。ポリッシュコットンはウェスに比べ革製品の艶を出すのに適しています。また、肌触りも異なり、適度に起毛していて柔らかいです。どちらも清潔なものを使用できるよう、数枚用意しておくと良いでしょう。

革製品のお手入れの手順

お手入れのためのアイテムを揃えたら、次は実際に手入れをしてみましょう。基本の手順を覚えて、革製品を日頃からケアしていくことが大切です。

1. 馬毛ブラシで革製品の隙間にたまったゴミやホコリなどを落とす

革製品には毛穴などの細かい凸凹やしわや縫い目があり、ゴミやホコリがたまりやすいです。そのため、先にそれらを馬毛ブラシで掃きだします。なお、ホコリやゴミが残っている状態でクリームを塗ると革を傷める可能性があるので、しっかりと汚れを掃いておきましょう。

ポイント
  • 歯ブラシをするときのような軽い力加減で革の表面を掃く
  • 漏れのないように丁寧に汚れを落とす

2. クリーナーをウェスに少量つけ、汚れを落とす

表面のホコリやゴミなどを落としたら、クリーナーとウェスを使って汚れを落とします。ウェスをしっかりと指に巻き付け、革のしわ部分を裏側から手を使って伸ばすようにします。クリーナーはウェスに適量つけ、優しい力で小さな円を描くように汚れを落としましょう。

ポイント
  • 少しずつクリーナーをウェスにつける
  • 一番汚れの強い、底面から作業する
  • 使用しているウェスの面に汚れが移ったら、新たな面を使う

3. ボタン回りや隅などの細かな部分の汚れを、クリーナーと綿棒で落とす

ウェスで落としきれなかった取手の付け根部分や金属の留め具周りなどの細かな部分は、綿棒にクリーナーを少量つけて汚れを落とします。特に名刺入れや財布などのスモールレザーグッズでは、細かな部分が多いため綿棒を使ってしっかりと汚れを落とします。

ポイント
  • 優しくくるくると回しながら汚れを落とす

4.クリームを少量ずつ塗り、革製品に栄養や油分などを与える

しっかりと汚れを落としたら、次はクリームで栄養補給をします。塗りムラができないように、ここでもしっかりウェスを指に巻き付けます。クリームはウェスに適量とり、撫でて革に馴染ませていくイメージで満遍なく塗っていきます。

ポイント
  • 多くつけすぎない、重ね塗りはしないことが大事
  • 強く刷り込むのではなく、革に優しく馴染ませる
  • 作業後に豚毛のブラシで塗りすぎた余分なクリームをとり、馴染ませるのもよい

5.ポリッシュコットンで革製品を磨き、艶を出す

クリームを塗布した後、仕上げにポリッシュコットンを使って、革製品の表面を磨いていきます。ポリッシュコットンには、余分なクリームを拭き取る役割と、クリームに含まれるワックスを伸ばし、艶を出すという役割もあります。

ポイント
  • あまり力を入れすぎず、撫でるように拭いて表面を磨く

革製品のお手入れを正しくするためのポイント

革製品はデリケートなものが多いため、日々のお手入れにおいて、注意しなければならないポイントがいくつかあります。ポイントを守って大事な革製品をきれいに保ちましょう。

ウェスはきれいな面を使用する

しっかりと汚れを落としたら、次はクリームで栄養補給をします。塗りムラができないように、ここでもしっかりウェスを指に巻き付けます。クリームはウェスに適量とり、撫でて革に馴染ませていくイメージで満遍なく塗っていきます。

ポイント
  • 汚れたらすぐに使用する面を変えて、常にきれいな面を使う

クリームやオイルは適量を心がける

クリーナーやクリームは革をケアするための大事なアイテムですが、多く使用すればよいというわけではありません。大量に使用するとシミやカビの原因となったり、風合いが損なわれてしまったりとダメージの原因になることがあります。

ポイント
  • 容器の蓋の内側を使ってウェスに薄く伸ばす

革製品をきれいな状態にし、防水スプレーを使う

防水スプレーは、水に弱い革製品を雨や汚れから守る役割があります。ただし、汚れた状態で防水スプレーをかけると、かえって革製品のシミになってしまう可能性があります。必ずきれいな状態の時に防水スプレーを使用するようにしましょう。

ポイント
  • 使うタイミングは購入した直後と日々のお手入れの後
  • 防水スプレーを使用する際は必ず室外で使用
  • 30センチほど革製品から離して十分に塗布する
  • 自然乾燥でも問題ないが、ドライヤー(温風)で乾かすとより効果が出る

革製品が濡れたらすぐに対応する

鞣し方法にもよりますが、革製品は一般的に水に弱いと言われています。革の表面から水が内部に浸透して繊維を柔らかくし、型崩れを起こしてしまうからです。さらに、革の内部に含まれている油分も水と一緒に流れ出てしまい、水が乾くと同時に繊維が乾燥、ひび割れ状態になってしまうこともあります。

ポイント
  • 濡れた場合は可能な限り早く水分を拭きとる
  • 拭き取る際は水分を伸ばさず、押して拭き取る
  • 拭いた後すぐにドライヤー(温風冷風交互)で乾かす

革製品のお悩み別のお手入れ方法

革製品の汚れやカビなどのうち、軽度なものについては、お家でのケアで簡単に直すことができます。重度の場合は、修復作業での革へのダメージが大きく、それぞれのケアをした後にカラー剤を塗布する必要があるため、プロにお任せください。

軽度の汚れ

お手入れ前
お手入れ後

汚れがご家庭で落とせるかどうかは、程度や種類、原因によって異なります。基本のお手入れを実践しても気になられる場合は、プロへご相談ください。

手順
ポイント
  • 白色の革についた汚れはウェスの代わりにメラミンスポンジの使用もおすすめ
  • メラミンスポンジは革の表面で円を描くように触れるイメージで使用する
  • メラミンスポンジは革の表面を削るため、ウェスを使うときよりもさらに軽く革にあてる

軽度のカビ

お手入れ前
お手入れ後

革製品は、布やビニール素材の製品に比べてカビが生えやすいという特徴があります。カビには様々な種類がありますが、初期の白カビであれはご家庭で対処可能です。

手順
  1. 清潔なタオルを水につけ、固く絞る
  2. 1のタオルで、カビの生えている箇所をこする
  3. 状態を見ながらドライヤー(温風・冷風交互)で乾かす
  4. クリーム状のクリーナーをウェスで塗ることで、汚れを落としつつ保湿する
  5. 布で乾拭きする
ポイント
  • アルコールは使い方によってシミができるため、ご家庭の手入れには使用しない

軽度のシミ

お手入れ前
お手入れ後

雨や水などによるシミは、水が広がり通った跡が残ったものです。軽度なものであれば、馴染ませ、目立たなくすることができます。

手順
  1. 清潔なタオルを水につけ、固く絞る
  2. 1でシミとシミでない部分の境界線をぼかすイメージで軽く革の表面を拭く
  3. ドライヤー(温風冷風交互)でシミの部分とシミでない部分を一気に乾かす
  4. 作業後は日常の革製品のお手入れをする
ポイント
  • アルコールやシミとり、大量の水はさらなるシミの原因になる可能性がある
  • ドライヤーは温風冷風を交互にすることで早く乾く
  • シミになっている部分とシミでない部分を一緒に乾かす

日常のお手入れを見る

キズ、色落ち、擦れ、その他重度の色落ち【プロ対応】

お手入れ前
お手入れ後

傷や擦れなどが原因で革が削られたものや色落ちしてしまった革製品の修理は、上からカラー剤を塗布する必要があります。既存の革の色と同じ色を調合するには、知識や技術が求められます。ひどくなりすぎる前にプロへご相談ください。

手順
  1. カラー剤の調合
  2. 色の塗布
  3. ドライヤーで乾かす
  4. 専用クリームの塗布
  5. ポリッシュコットンで乾拭きし、革表面に艶を出す

革製品の種類別のお手入れのタイミング

バッグ

バッグについては、しまう前と使う前に日常のお手入れを行います。また、雨に濡れたなどのトラブルが発生した場合は、お悩み別のケアをすぐ行い、その後日常のお手入れをするとよいでしょう。

スモールレザーグッズ(財布、キーケース、名刺入れなど)

スモールレザーグッズは毎日のように使用するため、バッグのようにしまうタイミングがないものもあります。革の表面に艶がなくなったタイミングで日常のお手入れを行うとよいでしょう。

日常のお手入れを見る

革製品の保存方法

高価なものも多い革製品。長く続けたいからこそ、カビを防ぎ、型崩れ、傷みなどが極力発生しない保存方法をとりましょう。

バッグなどは吊るして干す

革製品を床に置いた場合、床との接地面から菌が入ります。そのため、吊るして干すことで、床との接触を防ぎ、風通しを良くしておきましょう。また、型崩れ防止にもなります。

中に吸湿するものを詰める

湿気はカビの原因になるため、湿気を吸収するタオルや紙などをバッグに入れておくことも大切です。革製品のサイズに合わせて丸め、中に詰めることで湿気を吸収してくれるほか、型崩れ防止にもなります。

布袋の中に入れる

革製品を購入した際についてくる布袋に入れて保存するのもOKです。この布袋が外からくる水分を吸収してくれます。ただし、商品を購入したときの箱に革製品を保存するのは、湿気がこもってしまうためお控えください。どうしても箱を使いたい場合は、箱に穴をあけて通気性をよくしましょう。

直射日光を避ける

革製品は動物の皮を加工して作ったもののため、人間の肌と同じように日焼けをします。紫外線により革が乾燥して艶が失われたり、色むら・ひび割れにつながったりする可能性もあります。どうしても日の入りを避けられない場合は、タオルなどを上に被せて紫外線をガードしましょう。

革製品のお手入れで、それぞれの思い出を守る

革製品はしっかりと日頃からケアを行っていれば、長い間楽しむことができます。もし、セルフケアではカバーしきれないようなキズや汚れができた場合は、ぜひ「靴専科」へご相談ください。

「靴専科」では、他店では難しいと判断された革製品でも可能な限り対応することをモットーとしています。それも、革製品には他の素材で作られたものにない「持ち主の想い」があるから。持ち主様の想いに全力で寄り添い応えていきたいと、日々職人が知恵と長年の感覚を頼りに修理をしています。

監修者

HITOWAライフパートナー株式会社
靴専科事業部
大友良祐

全国に店舗を展開する皮革製品クリーニング・修理専門店「靴専科」の立ちあげメンバーで、現技術責任者。新規店オープン時の店長・スタッフの研修部門責任者としても活躍。レザー製品の修理業界に入り、この道20年以上。現場でお客様の声を生で聞くことが何よりのやりがい。靴やバッグの修理・クリーニングを通じてお客様に感動・満足を提供できるよう、生涯勉強の精神を努めている。

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