高齢化社会・高齢社会・超高齢社会の定義とは?問題点や対策について解説

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高齢化社会・高齢社会・超高齢社会の定義とは?問題点や対策について解説

日本は世界でもまれにみる超高齢社会です。人生100年時代ともいわれるようになり、社会のあり方もだいぶ変化しました。それに伴い、現在の社会の仕組みでは対処できない事柄も浮き彫りとなっています。超高齢社会の定義と問題点、政府が実践している対策について解説します。

高齢化社会とは

高齢化社会とは、65歳以上の高齢者の割合が「人口の7%」を超えた社会を指します。1956(昭和31)年の国連の報告書において、7%以上を「高齢化した(aged)」人口と呼んでいたことが由来とされています。

日本では、1970年から高齢化率7.1%を超え、高齢化社会へと突入しました。1970年時点での日本の人口比率は下記の通りです。

1970年(昭和45年)の人口

総人口 1億467万人
65~74歳の人口 516万人
75歳以上の人口 224万人

当時は、人口1億467万人に対して、65~74歳が516万人、75歳以上が224万人という人口割合です。これは、15~64歳の9.8人で、65歳以上1人を支える計算となります。

高齢社会の定義

高齢化社会が65歳以上の高齢者の割合が「人口の7%」を超えた社会を指すのに対して、65歳以上の高齢者の割合が「人口の14%」を超えた社会を「高齢社会」と呼びます。14%という数字は、高齢化社会の基準である高齢者割合7%を2倍にしたものです。日本では、1995年の時点に高齢化率14.6%を超え、高齢社会に突入しています。

1995年(平成7年)の人口

総人口 1億2,557万人
65~74歳の人口 1,109万人
75歳以上の人口 717万人

当時の人口1億2,557万人に対して65~74歳が1,109万人、75歳以上が717万人とう統計データとなっています。15~64歳が4.8人で、65歳以上の1人を支える計算であり、高齢化社会に突入してからわずか25年で、高齢者の割合が2倍となったのです。

高齢社会が進んだ背景

高齢社会が進んだ背景としては、まずは医療の進歩が挙げられます。日本の平均寿命が延びていることによって、高齢者の総数が増加しているのがひとつの要因です。また、一方で、「少子高齢化」という言葉があるように「少子化」も高齢社会が急速に進んだ要因として影響しています。
過去の主な合計特殊出生率を比較した結果が、下記となります。

合計特殊出生率

第1次ベビーブーム
(1947~1948年)
4.32
第2次ベビーブーム
(1971~1974年)
2.14
平成元年 1.57
平成28年 1.44

1947~1948年の第1次ベビーブームでの合計特殊出生率は4.32と非常に高い状態にありました。また、1971~1974年の第2次ベビーブームでの最合計特殊出生率は2.14と、一時2.0を上回りました。しかし、それ以降の最合計特殊出生率は減少傾向にあります。

平成元年には「1.57」、平成28年には「1.44」となっており、少子化が進んでいることがみてわかります。

超高齢社会の定義

高齢社会が進行し、65歳以上の高齢者の割合が「人口の21%」を超えた社会を「超高齢社会」と呼びます。人口の21%とは、高齢化社会の基準である高齢者割合7%を3倍にした数字となります。日本では、2010年には高齢化率23%を超え、超高齢社会を迎えました。

2010年(平成22年)の人口

総人口 1億2,806万人
65~74歳の人口 1,517万人
75歳以上の人口 1,407万人

当時の人口1億2,806万に対して、65~74歳が1,517万人、75歳以上が1,407万人であり、15~64歳が2.8人で65歳以上の1人を支える計算になります。現役世代への負担がより大きくなっていることが数値上でも明らかです。

今の日本は?

2021年現在も、超高齢社会が継続している状況です。2020年の日本の人口は下記の通りです。

2020年(令和2年)の人口

総人口 1億2,571万人
65~74歳の人口 1,747万人
75歳以上の人口 1,872万人
(65歳以上計) (3,619万人)

「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、令和2年10月1日の時点で高齢化率は28.8%。人口1億2,571万人に対して65歳以上は3,619万人、内訳は65~74歳が1,740万人、75歳以上が1,849万人という状況です。

15~64歳が2.1人で65歳以上の1人を支える計算 となり、さらに高齢者の割合が増加していることがわかります。

日本の超高齢社会の動向

高齢化の推移と将来推計(※1)

高齢化の推移と将来推計

日本において超高齢社会が継続していますが、今後も高齢化が進行する状況です。

医療の発達だけでなく、2010年には出生数が死亡数を下回り、総人口も減少している という点も見逃せません。総人口が減少する中で65歳以上の割合が増加しており、2036年(令和18年)までに33.3%、2065年(令和47年)で38.4%に割合が上昇する見込みです。

その時には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上という計算になり、ますます超高齢社会が進行する状況となります。

高齢社会・超高齢社会の問題点

高齢社会・超高齢社会ではこれまでの制度や体制では対応しきれない問題が露呈してきています。具体的には、医療・福祉のあり方をはじめ、社会保障制度や財政の問題、現役世代の減少・及び人口減少に伴う経済成長率の低迷、また、高齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下といった課題が挙げられます。

医療・福祉のあり方

疾病構造の変化や要介護者の数の急増によって、従来の医療制度では対応しきれないことが懸念されています。また、要介護の高齢者が今後急速に増加する見込みです。

介護できる者がいない、あるいは老いた人が老いた人の介護をする「老々介護」 がさらに増えるという点が問題視されています。

社会保障制度と財政

医療・介護費を中心として、社会保障に関する「給付」と「負担」のバランスが崩れる見込みです。税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつも持続可能な制度を実現することが、社会保障制度の基本スタンスです。その状態を維持するためには、国債の消化を海外に依存せざるを得ない状況となる可能性が高まっています。

経済成長率の低迷

現役世代の労働力が減少するだけでなく、総人口の減少も合わさって、日本の経済活動は鈍化すると考えられています。経済活動が鈍化すれば、新たなイノベーションも起きにくくなり、成長力が低下すると予測されるのです。もちろん、経済活動の鈍化がGDP(国内総生産)の低下に直結するわけではありませんが、経済成長が低迷するリスクは十分にあります。

高齢者のQOLの低下

働き続けたくても働けずに満たされない活躍意欲、社会から切り離されてしまうことによる孤立感など、高齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が著しく低下することが想定されます。特に、経済力や健康寿命に対する不安に苛まれ、生活の質が低下したり、人間らしく生きていく意欲を削がれる可能性があります。

高齢社会・超高齢社会への対策

すでにさまざまな分野で対策がされていますが、超高齢社会への対策として有名なものに、「地域包括ケアシステム」という仕組みが挙げられます。これは、2025年(令和7年)を目途として、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的とした制度です。

可能な限り住み慣れた地域で生活し、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援やサービス提供体制の構築を推進しています。 実際に行われている具体的な仕組みについて、詳しく解説します。

就業及び所得

遺族基礎年金の支給対象を父子家庭へ拡大し、また所得が一定以下の老齢・障害・遺族基礎年金の受給者に給付金を支給するなどの対策を実施しています。また、各自治体レベルで就業支援や、低所得者に対しての住まいの確保や介護サービスなどのケアを行っています。

具体例1

鳥取県南部町では、既存の民家・公的施設等を改修して、地域住民が必要に応じて見守り、食事の提供など生活支援サービスを提供しています。また、医療、介護サービスは、訪問診療、訪問介護など外部から必要な時に提供して、利用者負担を可能な限り安価に抑える支援を行っています。

具体例2

熊本県上天草市油島地区では、離島であるために地理条件が悪く、在宅サービスが進んでいないという問題点がありました。そこで、高齢者が住み慣れた家や地域で暮らし続けることを目的として、地域の実情に応じた介護福祉サービス、生活支援サービス等の在宅生活の基盤づくりに取り組んでいます。

具体的には、65歳以上の高齢単身世帯又は高齢のみの世帯から希望を募って、31世帯に無償で相談ボタンと消防につながる緊急ボタンを備えた緊急通報システムを設置しました。これにより、高齢世帯が安心して自宅で生活できるようになったのです。

健康及び福祉

重度な要介護状態になった場合でも、住み慣れた地域で自分らしく人生を全うできる社会が目指されています。これを実現するために、地域や自治体の特性に応じて高齢者の暮らす住まいを中心として、医療と介護・福祉、介護予防、生活支援が相互に連携する対策が取られるようになりました。

具体例

千葉県柏市では、在宅医療従事者の負担軽減の支援として、主治医や副主治医システムの構築により医療・看護・介護の連携体制の確立を目指しています。また、効率的な医療提供のための多職種連携として、在宅医療チームのコーディネートや在宅医療を行う診療所・訪問看護の充実を計っています。

学習及び社会参加

一方的に制度を押しつけるだけでなく、住民に対してさまざまな啓蒙を行うことで、より病気などについての理解を深める取り組みを行っています。また、社会参加を促すという対策も多くみられます。

具体例

鹿児島県大和村では、住民自らが動かなければ暮らしたい地域はつくられないという理念のもと、住民主体の「地域支え合いマップづくり」が行われました。また、現状の課題や今後の方向性を共有し、地域住民によって「畑づくりの支援」や「農産物の生産・販売・加工、手芸品製作販売」などのさまざまな活動も行われていました。現在も地域住民が一丸となって問題点を見いだし、仲間を支え合い活気のある街作りが展開されています。

生活環境

より細かなケアを実現するために、生活環境の整備を進めています。住まい・医療・介護・予防・生活支援などのサービスをサポートすることで、QOLを高める効果が期待されています。

具体例

新潟県長岡市では、バリアフリーの住環境と24時間連続した看護・介護・入浴・食事等のサービスを、今までの暮らしの中において小地域完結型で提供できる集合体を目指しています。独自にサポートセンターを設立すると同時に、介護サービスを利用することになる団塊の世代向けの雰囲気作りを進行中です。

HITOWAグループでの取り組み

HITOWAグループでは高齢社会をサポートする様々なサービスを提供しています。ここでは、弊社が行っている主な取り組みについてご紹介します。

ライフサポート

主におそうじ本舗などのハウスクリーニングサービスを提供しています。QOLに関連する、快適な住居をサポートするサービスがご高齢のお客様からも好評いただいています。

介護・ヘルスケア

有料老人ホームやデイサービスなどの高齢者向け施設「イリーゼ」を行っています。また、KEiROWという、健康保険が適用できる訪問鍼灸マッサージサービスにより、手厚い介護やヘルスケアを提供しています。特にイリーゼでは、入居される方のQOLを意識したサービスを提供しているのが特徴です。

子育て支援

子育て支援として、認可保育園や企業主導型学園、そして学童クラブなどを運営しています。特に、絵本日本一プロジェクトでは、「読み聞かせ」を通じて子供たちの「想像力」「聞く力」を育む促す仕組みが取り入れられています。また、今後ますますグローバルな人材が求められる社会に対応すべく取り組んでいる、保育園での英語教室「ふぁんばりん」も好評です。

給食サービス

高齢者介護施設を中心として食に関わるサービスを展開しています。単に健康食を提供するだけでなく、美味しさを楽しさに配慮した食事を提供しているのが特徴です。専任の栄養士が、身体状況を考慮しながらバリエーション豊かなメニューを立案しています。なお、給食サービスは、保育施設や学校給食、社員食堂への提供も行っています。

超高齢社会に対応したサービスを活用しよう

超高齢社会を迎えている中で、国レベルだけでなく民間企業レベルでもさまざまな取り組みが求められています。HITOWAグループでは、QOLを高めるための上質なサービスを提供しています。

出典・参照

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